静岡県浜松市を拠点とする設計事務所です。
まわりの環境を注意深く読み込み、住まい手との対話を重ねながら、風景にとけ込む住まいを
顔の見える施工会社・職人さんと、なるべく手を伸ばせば届く材料で
つくっていきたいと考えています。
そうして作ったものが、ハレの日もケの日も、穏やかな日常を過ごすことができる
どこかなつかしくてほっとする「居場所」となることを願っています。
私は自身が設計した住まい兼事務所で暮らし、仕事をしています。
この建物は、省エネルギー機器をたくさん組み込んで「省エネ」を実現するというよりは、自らや住まいを季節やお天気に応じて着脱・創意することで、環境への負荷が少ないくらしを実現することを目指しています。
春になると窓を開けて家中に風を入れ
夏には庭の木々が暑い日差しを遮り
秋には落ち葉を堆肥となるよう木々の根元に寄せ
冬は暖かい陽が差し込む景色が一番よいところで食卓を囲みます。
軒をなるべく深くし、外壁や建具を雨風から守ること。
コンポストでできた肥料で育てた家庭菜園の野菜をいただく。
行き交う人や訪れる方が楽しめるよう、道路側にも緑を添えて。
小さな庭でも、そこは生き物の住処となり、小鳥がやってきます。
季節のめぐりや外部環境とのかかわりを慈しむ暮らしを自身が実践することで、豊かさについて考える。
そのことが設計業務にも影響しているように思います。
【住宅・店舗・共同住宅・施設などの新築およびリノベーションの設計・監理】
新築はもちろん、一室のリノベーションや増築、マンションリノベもお気軽にご相談ください。土地や不動産さがしからご一緒することも可能です。自身の土地を探しについての記事(コチラ)もよかったらご覧ください。
私は山口県山口市に生まれ、小学校から高校までを名古屋で過ごしました。進路に悩んだすえ、「ものづくりに携わろう」と建築系大学へ。建築やインテリア、造園など幅広く学ぶうち、次第に「設計事務所での実務に携わりたい」との思いが強くなり東京の大学院へ進学し、授業のかたわら、都内のいろいろな事務所でアルバイトをし、なかでもお世話になった渡辺明設計事務所に入所しました。渡辺明先生のつくる建築の素材感や静かなディティールに惹かれたこと、竹中工務店で20年以上設計業務に携わられて独立されたことから、建築設計についてバランスよく学ぶことができそうだと感じたことに加え、閑静な住宅街にある自ら設計された事務所は、風通しも居心地もよく、そのことがなによりも説得力があり、良い建築を学べる空気を感じられたことが大きかったです。
渡辺事務所に入所してからの担当案件はどれも特徴があり思い出深いですが、特に大きな影響を受けた仕事が2件あります。
1件目は、最初に担当補佐をしたのが延床1500m2ほどの鉄筋コンクリート造の大きな住宅です。この案件では、石や木などでできた4つの浴室や7つのトイレといった、水回りの図面の書き方について教わりました。デザインというと、造形に思いをはせがちでしたが、雨水を受ける屋根や窓、浴室などの「水の通りみち」をきちんと整理しておくことが建築においては重要なこと。空気の通り道、構造が理にかなっているかなどといった複合的なことが造形と深く結びついていることを学びました。
2件目は、大正時代に建てられた数寄屋建築の増改築にかかわらせていただいたことです。古い建築がすでに持っている良さを生かしながら改築していく行為は楽しく、木造建築に興味を持つきっかけに。建築家、村野藤吾の数寄屋建築を見てまわったり、併設されるスパ施設の勉強のため家族を誘いバリのアマンリゾーツに出かけ日本やアジアの宿泊施設における「ラグジュアリー」を体感するなど、自身の身体を通して建築に向かっていくことの大切さを教えていただきました。また、日本の古建築の魅力と庭との深いつながりを感じたのもこの時でした。日本の古建築における線の多さは、庭によって中和されるのではないかと思うことがあります。また、庭が作り込まれていないほど、自然に見えるほど人工物でもある建築との調和を感じられるなど、振り返ると、木造建築と庭づくりを考える上での原点だったように思います。
仕事は充実していましたが、東京に住みながら仕事をしつづけることのイメージがしづらくなり、結婚を機に浜松市で2015年、設計事務所として独立し、色々なご縁をいただきながら今日に至ります。
1997
愛知県立旭丘高等学校 卒業
2001
京都府立大学 環境デザイン学科
生活デザイン専攻 卒業
2003
芝浦工業大学大学院
建設工学専攻 修了
2003~2010
株式会社 渡辺明設計事務所
<在籍時のおもな担当案件>
赤色の住宅(東京都)
2003~2005年 延べ床 1499.99 ㎡ / 地下 1 階地上 2 階建 / RC造 確認申請・工事監理
数寄屋建築増改築・スパ施設(静岡県)
2006~2008年 分離発注方式/延べ床 1373.90 ㎡ / 地上 2 階 / RC・木造 雑誌「新建築」2008年10月号掲載
山並みを臨む山荘(長野県)
2007~2009年 分離発注方式/延べ床 212.31 ㎡ / 地上 2 階 / 鉄骨造
小川沿いのすまい(愛知県)
2008~2010年 分離発注方式/延べ床 194.46㎡ / 地 下 1 階地上 2 階 / 木造一部RC造
2013
結婚とともに浜松市へ
2015
中村らんアトリエ
一級建築士事務所設立
資格
一級建築士
インテリアコーディネーター
既存住宅状況調査技術者
所属
静岡県建築士会
特に好きな建築家は、アルヴァ・アアルトやルイス・カーン、ルイス・バラガンです。
アアルトの人をやさしく包み込むような空間に惹かれますし、カーンの一見禁欲的に見える単純な架構のなかにある豊かさや、カーンとバラガンの「光」のあつかい方にハッとさせられます。3者ともにつくるものの大小にかかわらず、素材や人に対する愛情あふれるまなざしや誠実さを感じます。日本にも好きな建築家がたくさんいます。
趣味は家族が寝静まったあとにする読書で、はじめたばかりの家庭菜園の本、最近は松浦弥太郎さんの本をよく読み返しています。
得意な料理は、簡単なわりに、素材の味がそのままうまみとして引き出される煮込み系でしょうか。塩麹や味噌、梅干しなども毎年つくっています。浜松に来てから、素材そのものが新鮮で美味しく、調理にあまり手をかけなくなりました。「たくさんできたから」と、ご近所さんからお野菜をおすそ分けいただくことも。そんな予想していなかった「豊かさ」を味わいながら日々たのしく過ごしています。
〒432-8066 浜松市中央区志都呂町535-21
e-mail r-ageta@ra3.so-net.ne.jp
一級建築士事務所 静岡県知事登録 7528号
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