映画 マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して を観た。
日本での公開が2006年、カーンに強く興味を持った時期と重なる。
内容は、息子さんの目を通し、家族・親族や時代をともにした建築家(フランク・O・ゲーリー、IM・ペイやフィリップ・ジョンソンなど)・インド経営大学やバングラデシュ国会議事堂設計の際協働した建築家の方へのインタビューと建築訪問を通し、カーンの人物像を追うというもの。
2012年の年末から年明けにかけカーンの建築を巡る旅をした。キンベル美術館やソーク研究所の素晴らしさは知識としてあったものの当時訪れた中で最も感動したのはイエール大学 英国美術研究センターだったので、向かい合い建つ処女作と遺作とされるアートギャラリーと英国美術研究センターで映画が始まったことに嬉しく思った。
関係者のインタビューへの受け答えは様々であったが、バングラデシュ国会議事堂の設計者であるカーンが、いかに関係者に感謝されているかは良く伝わってきた。建てられたものと求められていることがぴったり重なることほど喜ばしいことはないと思う。
後半、フィッシャー邸の窓際で、3人のカーンの子(異母)が集うさまに自宅の設計でかの印象的な窓のエッセンスを取り入れられないかと試行錯誤したことが思い出された。建築家の方々が、カーンへのオマージュとして取り入れているように思う。けれど、天井の低い我が家で同じことをしなくてよかったと、縦方向のスケールがよく伝わる映像を見て改めて思った。映像と写真とでは印象が意外と違うものだ。
古典から学び、モダニズム建築と一定の距離を置き自身の作風を模索することで唯一無二の建築家となったカーン。
カーンの一連の住宅群はいずれぜひ見学に訪れたい。