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棲む

このところ、ちかく開催予定の催事の準備を建築設計の諸先輩方とともにしています。

会場は浜松市の気賀周辺。

 

先日、少し町を歩いてみました。

そこで写真家 上田明さんの住まいを教えていただいた。

上田さんは、自宅ともう1軒、竣工時に写真を撮っていただいた。けれどどんなところにお住まいかまでは存じ上げなかった。

 

薄暗い路地先に、1坪ほどの小さな中庭をぐるりと囲むコンクリートブロック組積造?の2階建ての小さな建物。

その人がどういうところに住んでいるか。それはその人そのものを表すように思う。

無駄をそぎ落としたアジトのような恰好良い住まいは、「 住む」というより「棲む」-より動物的に求めて止まない場所―という方が似合っていた。

 

写真で伝わる分かりやすい居心地の良さもあるけれど、言葉や写真では伝えきれない居心地の良さもある。

上田さんの住まいは、豪華さや華美といったものとは真逆なのに、中を拝見してもいないのだけれど、なぜか居心地がよさそう。それが外からわかってしまう気がした。

 

自身の設計行為は、その人の本質をあらわす「棲み家」をつくることでありたい、と思った。