敷地は、地方都市の郊外にある分譲住宅地です。道路を挟んだ反対も左右にも住宅が立ち並ぶ、よくある「住宅団地」です。
まわりをぐるりとみまわすと、こんな感じです。
施主(私)の一番の希望は、昼間からカーテンやブラインドで窓を覆わず、
開放的で緑を楽しめる暮らしがしたい。
反面、プライバシーも確保したい。
というもの。
一見相反するふたつの希望を同時に叶える方法を探ってみました。
まわりを家に囲まれていてどこに窓を開けたらよいのでしょうか。
高台の一角なので、景色が開けた場所があるはずです。探してみると・・
ありました!
2階の高さに、遠景が臨めそうです。
どうやらこの敷地は、2階のこの方向が、設計の起点になりそうなので、
そこに家族が集まる場所、ダイニングテーブルを据えることに。
南東への「視線の抜け」に加え、
周辺のお宅や竹林などの緑が楽しめそうな場所もチェック。
日本に古くからある考え方の一つに、「借景」があります。
窓をあけるとすぐそこに公園の樹々が見えたり遠く山の稜線を眺めたり。
そういった自分の土地の外の景色を借りてくる「借景」を積極的に取り入れることで、
敷地の中だけでは得られない風景を享受できるように。
「仲良く」してくれそうな風景を、敷地の外に探して、住まいをもっと居心地のよいものにしていきましょう。
遠景に海をのぞむ2階のコーナー窓は家族が一番集まるダイニングに。
リビングからも、お庭の緑や、遠くの木々を望めます。春には桜が満開です。
キッチンからはダイニングはもちろん、リビングも見通せます。右側に設けた小窓から竹林の緑も楽しみます。
1階は、寝室や水回りなどのプライベートゾーン。
寝室と浴室、それぞれ異なる視点からお庭を楽しめる配置にしています。
寝室の南側をあえて「閉じる」ことで、
隣接する私道や、お宅の音や視線を気にせずゆったりと過ごせるようにしています。
庭とつながる寝室
木々の揺らぎを楽しめる浴室
キッチンの向こうは、お向かいのお庭を借景として。
日の出前のダイニング。
いかがでしたでしょうか。
住宅街でも、建物の配置や各部屋の位置を検討することでブラインドや障子、カーテンを開けて、びのび暮らすことができます。
この住まいの写真はコチラ
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